「ねんきん」いろいろ

 

(京専)5期、管理工学科卒の下村建基です。幸か不幸か、日立製作所とそのグループ会社にお世話になった40年間、“職能”(人事・勤労)が変わらなかったこともあり、定年後に「社会保険労務士」としての仕事をさせてもらっています。

シニア支部の役員に「茨城以外からも参加せよ」ということで、2年間、石原支部長のもとでお世話になりました。今回、HP担当の山出さんから「役を降りたんだから何か書く様に」との指示がありましたので、今回は仕事柄、OB向け年金の話の中から、まあ、ちょっと「うけて」いる話を一つ紹介させて頂きます。

我がHグループ会社の先輩で今年70歳になられます藤井さん(一応仮名)が最近、どんな趣味のサークルに出かけても、なぜか現役時代とちがって?モテモテだというお話です。

この藤井さん、グループ会社で管理部門の副部長までの経歴をもつのですが、お気の毒なことに数年前に奥様に先立たれました。でも、隣の町に住む長男(健一郎さん)夫婦には可愛いい孫もでき、ご本人、今は悠々自適の年金暮らし。

そんなある日、趣味のサークルで知り合ったのが、近所のスーパーでパート勤めをしている高橋さん(これも仮名・60歳)。

この高橋さんはちょっといろいろあったのでしょう、バツイチです。でも藤井さんとなぜか気が合って、お茶飲み友達から次のステップにING。

さて、藤井さん、一旦は「今さら、この歳で」と思いましたが、息子・健一郎さんにそれとなく再婚の話を切り出しました。

しばらく考えた健一郎さんは「おやじ、本来ならばそろそろ自分たちが面倒をみなければならないと考えていたところでもあり、その人と一緒になるのは一向に構わないよ。でも
「入籍」だけは困るな」。

一方の高橋さんは「入籍など望んでいません。これからの人生、本当に一緒に住んでいいですね」ということで、話はトントン拍子にいって、めでたく藤井さんと高橋さんはゴールイン。

表札には2つの名前が出ていますが、ともかく一緒に生活をされ、サークルの仲間もどんどん呼んで充実した日々でした。

ここで皆さんもお気づきの通り、息子・健一郎さんが心配したのは「財産分与」ですね。藤井さんに戸籍上の妻が出来れば、自分の分け前が半分に減ります。おやじの面倒をみてくれる人が表れたのは有難いとしても、今や自分も子を持つ親としてこの一線は譲れません。

さて、それから5年を経て藤井さんが75歳になった時、さあ、これからが例の悪名高い「後期高齢者医療制度」だという時期にこの人、急な病いを得て亡くなられますというストーリー。

さて、ここからが私の出番となります。藤井さんはずっとH社とグループ会社にお勤めだったので、「厚生年金」を受給していました。

その内訳は、報酬比例部分15万2千円と定額部分(基礎年金部分)7万8千円の計23万円でした(本当はH社の年金基金の加算部分もあったのですが、今回の話からは端折ります)。

片や、高橋さんは国民年金だけでしたので(丁度、藤井さんが亡くなられた)、65歳から自分の基礎年金6万6千円の受給が始まることになります。

もし、高橋さんが藤井さんとめぐり合って生活を共にすることがなかったら、この6万6千円の年金をベースに今後の生活設計をたてていかねばなりませんでした。

ところが藤井さんと結婚された高橋さんには、藤井さんの遺族年金と経過的寡婦加算というのがついて、何と19万3千円(20万円に近い)の年金が「一生」(死ぬまで)受けられることになるのです。 (もちろんまた再婚したらダメですよ)。

どうやら藤井さんがモテモテだったのはこのあたりに原因がありそうですね。

ここまで話をすると、皆、エーと首をかしげます。そして最近は気の短い人?が多く、講師(一応私)がしゃべっているのにお構いなく割り込んで、自分の疑問をぶつけてきます。

「籍を入れてないのに本当にいいのかよ」

(はい、同居していれば「生計維持関係にある者」として、籍は問われません)

「でも、それ「同居」ってどうやって証明するの?」

(たとえ別姓のままであっても住民票は必ず同一世帯にしておいて下さい。これが証明になります。少し細かいですが、世帯主との身分関係を表示する続柄の欄には「未届けの妻」と表記されます。)

「婚姻(同居)期間は何年以上ってないの?」

(期間の制約はありません。また、高橋さんについて保険料納付要件もありません)。

あっ、一応、高橋さんが受け取れることになる19万3千円の内訳ですが、藤井さんの遺族厚生年金15万2千円×3/411万4千円、1948年生まれの高橋さんにつく、経過的寡婦加算1万3千円、そして高橋さん自身の基礎年金6万6千円、

合計19万3千円です。

さて、来年(21年度)の総会時には、こうしたいくつかの「ねんきん」の話を中心に不肖「私」が話をさせて頂く予定です(これも石原支部長の指示)。

こういう話、おもしろいな、ためになる?から聞いておこうかと思われる方、まずは総会にご出席頂くことが必要です。なお、シニア支部にまだ入会されておられない方は、早速、入会の手続きをされて、次の総会に話を聞きにきてください。

社会保険労務士法人 なんの木事務所

所長  下村 建基